アップローズキャリア 尾川直子からのメッセージ

方言の壁を乗り越える(2014.09.22)

 周防正行監督の映画「舞妓はレディ」を観てきました。主人公の春子が舞妓になりたいと京都の花街に行ったものの、春子の言葉は津軽弁と鹿児島弁がミックスされています。そこへ言語学者の京野が現れ、「マイ・フェア・レディ」のヒギンズ教授のようなレッスンを行っていきます。

 アナウンサーになりたいという人の中には私を含めて地方出身者が少なくありません。さすがに映画の春子のように津軽弁と鹿児島弁が混じった受講生は見たことがないのですが、私は山口県出身なので、「ピアノ」、「2月」、「後ろ」を「頭高」(あたまだか:先頭の音にアクセントをつけること)で発声していました。

 でも、アクセントミスがほとんどないという人もいません。東京出身者であっても、その人特有の訛りはあるものです。

 アナウンサー試験はエントリーシートや作文を含めた総合力ですので、「綺麗な標準語を話せること」が第一の条件ではありません。もちろん、入社してからは標準語を求められる仕事ですが、採用時には入社後の研修の中で自分の言葉を変えられるかどうかという可能性を見ているのだと思います。

 とは言え、採用試験の中では原稿読みもありますので、そこで大きなミスが起きない程度のレッスンをしています。これまで日本のほとんどのエリアの受講生をお迎えしていますので、その人に合わせた内容にしています。教室では私自身が方言を乗り越えていった過程をお話ししたり、そして関西で講師をしていた時代に関西弁しか話せなかった受講生の指導を通して得たスキルを活かした指導をしています。地方出身者の方、怯まずにチャレンジしましょう。